珠玉のセリフの数々『映画大好きポンポさん』
「ポンポさんが来たぞ」 というセリフとともに現れる映画大好きポンポさん。
キャラクターの見た目は子供っぽいかもしれないが、映画製作現場の現実をドライにクールに語っている。 と思う。
と思うというのは映画の製作現場を知らないから。
働いたこともないし、働きたいと思ったことはあるけどもチャンスにも恵まれず、映画へのあこがれだけが残った今の自分にとって、映画製作現場はわかった風な口は絶対にしゃべってはいけない聖域なのだ。
そんな聖域でポンポさんは偉大な祖父を持つという、機会に恵まれながら敏腕プロデューサーとして戦っている。
まぶしいお方。
ポンポさんが放つセリフにはその見た目からは想像もできない刺さる言葉が投げかけられる。
例えばポンポさんが放つこんなセリフ。
「まあ極論、映画なんて女優を魅力的に取れればそれでOKでしょ」
確かにそうだ。
魅力的な女優のイメージしか残らない映画は確かに存在する。
女優が魅力的なのか、魅力的に撮れている女優なのか。
女優の感想しか残らなくてもいいんだと救われた気持ちになる。
そんなポンポさんがアシスタントのジーンに映画の監督を任せるところからこの物語は動き出す。 ジーンの採用理由が「ジーン君がいちばんダントツで、目に光が無かったからよ」というのもおもしろい。
あこがれだった映画監督というチャンスを手に入れ、映画製作にまい進するジーン。
ジーン君にとっての映画の縛りはポンポさんが語った映画は90分以内というルール。
祖父から長編映画を延々と見せられた幼少期のポンポさんにとって「90分以下のわかりやす〜い作品は砂漠のオアシスって感じだったわ」 90分以内の映画を目指しとったシーンの取捨選択を迫られるジーン君。
シーンの取捨選択は、何かを得るには何かを犠牲にしなければならないというジーン君の人生の教訓とも重なる。
ここからエンディング向かっての加速感がたまらない。
「君の映画に君はいるかね」
の言葉に追加の撮影を願うジーン君に、その願いをかなえるポンポさん。
「ポンポさんが来たぞ」というセリフと共に登場するポンポさんが実に頼もしい。
杉谷庄吾の【人間プラモ】のコミックをアニメ映画化作品。
もちろんこの映画自体も90分台。
しびれる。
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