夢見る少女から夢見る女性へ『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』
1995年。
作家になることを夢見て西海岸からNYに移り住み、老舗の出版エージェンシーで働き始めることになった若い女性ジョアンナ。
ジョアンナはJ・D・サリンジャーの代理人を務めることになった。
代理人といってもすでに隠匿生活を送っているサリンジャー宛てのファンレターに「サリンジャーはファンレターを読みませんので悪しからず」とだけ返信する仕事。
J・D・サリンジャーの著作を一冊も読んだ琴のないジョアンナは特に感慨も抱かずに淡々と仕事をするが何人かの熱心なファンにはサリンジャーになりすまし丁寧な返信をし始める。
ジョアンナを演じるマーガレット・クアリーが作家を夢見る文学少女を好演。
不器用で、でもまっすぐ。
同じく作家を目指すボンクラ書店員と恋に落ち、これは愛ではないことに目が覚める。
1995年の設定も小気味好く、まだインターネットやスマホが十分ではない自由さにうっとりする。
無機質なニューヨークのビル群を背景に人間がお互いの目を見あって会話をし、思いをぶつけあう。
たったこれだけのことが画になる。スマホの小さい画面には収まりきらないニューヨークの街並みにあこがれる。
出版社の所狭しと並べられた書物に囲まれ人の言葉、書物の言葉に触発され成長をするジョアンナにくぎ付けだ。
もう自分には西海岸から作家を目指す少女といえばマーガレット・クアリーしか思い浮かばない。
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