『THE BATMAN』

 


  俺こそが影だ


演じる俳優によってがらり印象を変え、観る映画によって異なるイメージを観客に与え続けるバットマン。

もはや歌舞伎や古典芸能の域にまで達してしまったこの演目に新たな要素を追加したのが本作でブルース・ウェイン/バットマンを演じたロバート・パティンソン。


ロバート・パティンソンのバットマンは冷たい冷気と湿度を身にまとったわがままエンジェル。

唯一の理解者であるはずの執事アルフレッドに悪態をつき、ただいま反抗期の真っ最中。


お金も力もあるから手に負えない。


表向きは犯罪者と戦い続ける謎のヒーローだが、この日がハロウィンだったこともあり、どう見てもコスプレ野郎。


しかもただのコスプレ野郎ではない。

復讐に燃えているのだ。


バットマンといえばメカも見どころの一つ。

特にバットモービルは、どのバットマンシリーズでも注目されるが、『THE BATMAN』ではフォード マスタングを近未来風にアレンジしたレトロフューチャー、かつエンジンむき出しのマッチョなデザインを採用。


バットマンはバットモービルのハンドルを握りゴッサムシティーをところ狭しと駆け巡る。

もうコスプレ野郎とは言わせない。

そんな狂気を感じる。


おそらくこのバットモービルを夜な夜な作ったのは執事アルフレッドなのだ。

自分のことを邪険に扱うブルース・ウェインのために寝る間も惜しんでバットモービルを作成する執事アルフレッド。

反抗期の子供を持つ私にとってアルフレッドこそがヒーロー。


バットマンは言う。

「俺こそが影だ」

強さと脆さ、はかなさと狂気をアルフレッド作のコスチュームで包み込んだ今は若きバットマン。


見守るしかない気分になった。

コメント

このブログの人気の投稿

亡き天才を思う『Winny』

『私はいったい、何と闘っているのか』

この熱さ、好き『RRR』