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1973年のアメリカ西海岸サンフェルナンド・バレーで繰り広げられる1組の男女の爽やかな青春恋愛ムービー。

15歳の高校生にとって年上の女性は危険だ。
自分を大きく成長させることもあるが、一方でその魅惑や受けた施しに生涯にわたって影響を受け続けることもある。

アメリカ西海岸のサンフェルナンド・バレーに住む高校生ゲイリーは子役俳優として活躍しているが、学校で行なわれた写真撮影にカメラマンの助手としてやって来た年上の美しい女性アラナに恋をしてしまう。

子役という特別性に自信を持つゲイリーは自信満々でアラナを口説く。

思わず心の中で叫んでしまう。
「1973年、アメリカ西海岸!」と。

スマホどころか携帯電話もない時代。
家に電話をかければ親が出る。
電話の内容も家族に聞き耳を立てられる、プライバシーや個人情報という言葉が生まれてない時代。

道には新車のクラシックカーがパワフルに走り、事件の容疑者と同じ服装というだけで容赦なくパトカーで連行される。

今から見れば、
何もない。
でも、何でもできる。
そんな時代に生まれた1組のカップル。

自身と時代の成長に否応なく巻き込まれ、好むと好まざるとにかかわらず変化を求められる10代から20代という時期に出会ってしまった二人がつかず離れず成長する。

お互いを思いながらも言葉にできず、言葉にできても行動にできないもどかしさ。

二人はお互いに向かって走っている。
ただ方向が違うだけ。
走り切った先にお互いがいるのかいないのか。
いつか手をつないで同じ方向へ走り出せる日が来るのか。

1970年代アメリカ西海岸で生まれた二人のきらめきから目が離せない。

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