『サマーフィルムにのって』
これ、失恋だったのか
青春とSFは相性がいい。
特にタイムスリップ物ものとの相性の良さは格別だ。
時代劇オタクの女子高生ハダシは映画部に所属しているが、同部が制作するキラキラ恋愛映画には興味がない。
ハダシは映画館で時代劇を見に行くとひとりのイケメン男子を発見。
追いかける。
凛太郎という名のイケメン男子の持つりりしさにほれ込んだハダシは、凛太郎を主人公に時代劇映画を作り出す。
勝新太郎版座頭市をこよなく愛するハダシの殺陣が本格的。
演じる元乃木坂46の伊藤万理華の丸顔も相まって一瞬、勝新太郎に見えてくる。
観ているこちらも思わず中村珠緒の気分になる。
ハダシの映画作りに協力する親友のビート板やブルーハワイもいい。
二人とも女子なのにこんなニックネームを受け入れるところも青春だ。
急ごしらえの映画制作チームが映画作りを通してそれぞれの思いが交差していく。
情熱、憧れ、失恋。
喪失して初めて恋だったことに気づいたビート版の
「これ、失恋だったのか」のセリフにこちらの涙腺も刺激される。
映画作りを通してまとまっていく絆。
SFパートも派手さはないが、素晴らしい。
のちの映画の巨匠ハダシはなぜ最初の作品「武士の青春」だけがないのか。
それを確かめに来た未来人・凛太郎が生み出すタイムパラドックスはあまりにさりげなく見事。
劇中映画「武士の青春」と本作「サマーフィルムにのって」のエンディングを融合する本作のエンディングに驚愕する。
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